平和経

第九篇 11

二十一世紀における大陸国家の役割

日付:一九九六年八月三十日

場所:アメリカ、ニュージャージー州、シコーカス・ヒルトン・ホテル

行事:「世界平和大陸国家連合」創設大会

尊敬する北アメリカの代表であられる参加者の皆様、そして紳士淑女の皆様。人類の福祉増進と平和世界の実現のための皆様の労苦に、心からの感謝をお捧げいたします。

私は、二十世紀も残すこと四年余りという現時点において、この会議が、平和世界のための私たちの希望を明快にして拡大させる、有益な討論となることを願います。私はまず、世界平和実現と究極的な人類の理想に対する私の見解を皆様と共有したいと思います。

「統一原理」の宣布と世界宣教

私は韓半島で育ちました。韓国民族は、理念と資源の問題を中心とした世界の列強たちの角逐(かくちく)により、多くの苦痛を受けました。幼年期以後、私は人生と宇宙の根本問題に対する答えを探すため、必死の努力を続けてきました。そして、神様に対する私の経験を通し、生きておられる神様を知りました。

また、神様が歴史の中で人類と共に摂理される真の愛の主人であることを知るようになりました。私は、神様が罪悪と対立、戦争がはびこる世界を計画し、創造したとは信じられませんでした。青年時代の経験について長々とお話しする時間がありませんので、きょうは簡潔に、その当時の真理追究に対する私のあふれんばかりの情熱についてお話ししたいと思います。

私は、「統一原理」として知られている統一教会の教えをこの地上に提示しました。しかし、このような教えは簡単に得られたものではありません。言うまでもなく、私は神様と霊界にいるイエス様、そして多くの聖賢たちと祈祷による十分な交流を通して原理の真髄を伝授されました。その啓示は、サタンとの決死の闘争を通して得られたものです。

私は、このような「統一原理」を教え、実践することに、自らの全生涯の一瞬一瞬を捧げてきました。そうして、「統一原理」に触れ、「統一原理」を通して生きている人たちが、今や百八十四ヵ国に広がっています。「統一原理」は、これに触れた人たちに、生きて働かれる神様と新しい関係を設定させることによって、人々の人生を変化させています。

神様の理想と人間完成

神様によって創造された私たち人間は、私たちの夢を成就し、神様との関係性の中で理想世界を実現する内的な希望をもって生まれました。それだけでなく、最も困難な条件下にあっても、人間は絶対に理想世界と平和世界のための希望を捨てません。私たちが理想世界について語るとき、私たちは、神様こそがその理想という概念の根本であることを知らなければなりません。

神様は、富と権力、名誉のために世界を創造されたのではありません。絶対、永遠、不変であられ、すべての存在の根源であられる神様は、既にそれ自体で満ち足りている存在なので、このようなものは必要ではないのです。しかし、神様は御自身の望みすべてが、既に満たされていると言うことはできません。

神様は、真の愛の本体として存在しているので、私たち人間と同様に、愛を与えたり、受けたりする対象が必要です。愛は、もっぱら主体と対象の関係があるところで経験することができます。いかなる存在も、孤立しては愛を感じることができません。

神様は、自由に愛を与え合うことのできる存在として人間を創造されました。人間は、神様の真の愛の対象となるように創造されたのです。神様は人間を御自身の息子と娘として創造したというのです。ですから、神様は私たち人間の真の父母です。神様が最初の男性であるアダムと最初の女性であるエバが、真の愛を中心として純潔なままで成長することを願われました。神様は、アダムとエバが真の人となることを望まれました。神様はこのように美しく奥妙な自然世界を、すべての生命が成長できる環境として創造されました。そして人間は、このような環境の中で成長したのです。

しかし、神様の主な関心は、人間の内的な人格の成長にありました。真の愛を経験することにおいて、神様は私たち人間が、神様の真の愛を体恤し、完全な存在に成長するよう計画されたのです。そして、神様は愛の力をいかなる力よりも強く創造されました。天の愛と法度の領域の中で、人間をして真の愛の力を経験させることによって、私たち人間が父母であられる神様にだんだんと似ていくのです。無限な真の愛を所有するために、私たちはまず責任意識を学ばなければなりません。

人間が真の愛を通して神様と一つとなったとき、人間は、神様に似た完全な人格体として、真の愛の完全な実体となることができるのです。そのような意味から、神様は人間の幸福の本質と生命であり、理想であると言うことができます。アダムとエバは、神様の愛の中で成長し、真の個人となり、真の夫と真の妻となって子女を養育することで真の父母になるようになっていました。人生の成長段階を通し、人間は徐々に神様の愛を経験します。

個人は、父母の愛を通して子女の心情を知り、兄弟姉妹の愛を通して兄弟姉妹の心情を、配偶者を通して夫と妻の心情を、そして子女に対する愛を通して父母の心情を知るようになります。

家庭は、このような四大愛と心情圏を確立する基盤になるのです。家庭は、愛と幸福、生命、そして血統の基盤です。私たちは家庭以外のいかなる所においても、このような四大愛と心情圏を経験することはできません。私たち人間は、実際的な経験を通してのみ愛を知るようになります。個人、家庭、社会、そして環境の真の完成は、家庭の中における真の愛の実現に基づいています。

世界平和と復帰摂理

今日の世界の現実はどうでしょうか。科学と技術の進歩、そして現代生活の便利さにもかかわらず、世界は人間性の喪失という深刻な危機に直面しています。無秩序とありとあらゆる種類の暴力と犯罪、麻薬の乱用、戦争などが人類を蝕んでいます。そして、離婚率の増加、若い世代の性倫理の崩壊と十代の未婚の母問題などを含めた家庭崩壊現象が、私たちの社会基盤自体を破壊しています。

私たちは多方面にわたって平和と幸福を探し求めてきましたが、私たちの中で誰一人として、自らの人生において成就した結果に対して満足できる人はいません。第一次、第二次世界大戦後に国際連盟と国際連合が、未来に発生する葛藤を解決するために創設されましたが、このような機構の国際的な努力や活動も、平和な世界を実現することはできませんでした。

各種宗教団体の努力もまた、幸福な世界を実現することに成功していません。共産主義の理念やファシストの幻想も、一つの世界を建設することには失敗しました。高度に進歩した技術や巧みな外交術もまた、私たち人類に平和と幸福の世界をもたらすことはできませんでした。これは、人類の不幸と苦痛の原因が、正に人間の堕落と神様に対する不従順に起因しているからです。ですから、このような根本原因を除去することによって、問題は解決されるのです。

アダムとエバは、彼らの成長期間の時に真の愛を蹂躙しました。彼らは、真の愛の理想の中で成熟段階に到達する前に、不倫の性関係を結び、子女たちを繁殖することによって、神様の原理から逸脱しました。アダムとエバが、彼らの愛する父母である神様を信じず、サタンに屈伏し、堕落したことによって、人類歴史は始まりました。このような行為によって、彼らは偽りの夫と妻となり、偽りの父母となりました。最初の家庭から始まり、このように相続されたものは、堕落の負の遺産であって、葛藤と苦痛を含んでいます。このような遺産は神様の創造理想とは無関係です。それをご覧になる神様はどれほどやるせない心情だったか、想像することもできません。

しかし、神様はいかなる代価を払っても、本然の真の愛と平和の理想を復帰しなければなりません。ですから、神様の救援摂理は復帰摂理なのです。このような復帰を果たすために、神様は宗教を創始し、善の版図を広げてこられました。

神様によって送られた救世主は、正にこのような復帰摂理を完成する責任をもって来られる方です。メシヤは真の父母として来られなければならず、問題の根源から始まったすべてを聖別しなければなりません。

イエス様は、真の父母の因縁をもって来られたメシヤです。イエス様は、この地の人類を復活させるために来られました。イエス様は、人類全体を真の人間として復帰し、この人類が互いに真の夫と妻となり、真の父母となることができるようにするためでした。

ところが、不幸にもイエス様は、この地の人間たちの不信によって、このような目的を完全に果たすことができなかったのです。しかし、イエス様は昇天する前に、この地上に再び来るという約束をされました。ですからイエス様は、神様の創造理想を完全に復帰するために、再び来られなければならないのです。

原理的観点から見た文明の発展

イエス様はイスラエルで誕生しましたが、ユダヤ人のためだけに生まれたのではありません。イエス様は、救世主と真の父母の立場でこの地に来られ、神様の理想、すなわち真の愛と平和の世界を実現しようとされました。その当時、イスラエルはローマの植民統治下にいました。もしもイエス様がパレスチナ人の中で、その目的を成就していれば、その民族を通して神様のみ言が全世界に伝播されていたでしょう。

事実、アジアとアフリカ、そしてヨーロッパという三大陸の交差点に位置するパレスチナ地方は、キリスト教の歴史において初めの一世紀の間、イエス様の教えを伝播する役割を担当しました。言い換えれば、キリスト教は、南にはアフリカ、東にはアジア、そして西にはヨーロッパへと伝播されたのです。

最終的に、キリスト教は、ヨーロッパと西アジア、そしてアメリカ大陸で、その重要な位置を獲得しました。

キリスト教を通して、これらの広大な大陸は、それぞれ相対的な統一性を形成することができました。そのように統一された大陸の力は、最後には世界を支配するようになりました。

文明は、まずエジプト、メソポタミア、そして中国などの大陸で始まりました。西洋文明の中心は、ギリシャ、ローマ、そしてイベリア半島へと伝播されました。

このような半島文明は、イギリスを中心とした島嶼文明に、その輝かしい地位を明け渡したのち、再び、文明の中心は北アメリカ大陸文明へと移動し、太平洋を渡って、日本を中心とした島嶼文明へと移動しました。そして、その島嶼文明は、再び半島文明へと移動しています。ですから、文明の発展は、韓国において半島文明として結実するというのが摂理的見解です。

半島文化は、主要な文明として成長しました。偉大な宗教や哲学、思想などが、人類の精神の領域を導くために半島文化から現れました。バルカン半島から現れたギリシャ哲学、イタリア半島で開花したキリスト教文化、インド半島のヒンドゥー教哲学と文化、アラビア半島で起こったイスラーム文化、東南アジア半島で隆盛した仏教文化、イベリア半島の航海術、そしてスカンジナビア半島のノルマン文化などを含んでいます。このような半島文化は、大陸に根を下ろすようになりました。ギリシャ、ローマとイべリア文化はヨーロッパとアメリカで隆盛し、イスラーム文化はアフリカとアジアに伝播されました。

また、別の観点から見るとナイル川と黄河、ユーフラテスとチグリス川のような主要な河畔を中心として発達した文明は、地中海沿岸とギリシャ、ローマと北ヨーロッパ地域を中心とした文明にそのバトンを渡しました。その中心は、北アメリカ、フランス、イギリスなどの国家を中心とした大西洋文明へと再び移動しました。究極的に文明は、北アメリカと日本、そして韓国を中心とした太平洋文明として結実するでしょう。モーセ、ゾロアスター、釈迦、老子、孔子、イエス様を含めた歴史的に主要な宗教の創始者たちは、大陸に現れました。イエス様を通して啓示された神様のみ旨は、アジア大陸にあるイスラエルで確立され、半島国家であるローマの影響力を通してアメリカとギリシャ、そしてアジアなど、世界に達することができました。

今日、世界的な力の核心は、北アメリカとアジアにあります。イエス様の再臨に対する神様のみ旨は、これらの大陸国家が、イエス様が再臨する所、真の父母が来られる、正にその場所である韓国を基盤とし、全世界のために完全に投入するとき、初めて成し遂げられるのです。

地球の表面は、陸地と海で構成されています。私は、海が母の役割をするものであると考えます。海において、生命の最も簡単な形態が現れました。海が生命と養育の要素、そして包容性を与えることから女性の特性を象徴しているとすれば、陸地は男性の特徴を象徴していると言うことができます。このことから、海に囲まれた島嶼国家は女性を象徴し、半島国家を伴っている大陸国家は男性を象徴していると言えます。

特に、半島国家の人々は、大陸と海から押し寄せてくる敵たちに対抗することで、強靭さと勇気を培ってきました。このような先駆的で冒険的な精神のもとに、彼らの輝かしい文化が開花し、成長、発展しました。一方、大陸国家の人々は、忍耐力を培ってきました。彼らは、広大な自然環境を開拓してきました。そして、世界の様々な文化から孤立し、多くの世代を経てきた大陸の人々は、地に対する永久的で不変的な価値を付与してきました。そのような意味から、島嶼、半島、大陸の国家の人々が、互いに正しい関係を確立することが、世界平和の実現に貢献できる道なのです。

新しい千年を迎え、大陸国家は摂理的に重要な使命を完遂するために召命されました。大陸国家は、共通した経験とともに、世界のために貢献する大陸国家の力を「世界平和大陸国家連合」に結合させることによって、大陸国家が平和世界の実現において、中枢的な役割を果たすことができるようにしなければなりません。

尊敬する指導者の皆様。しかし、私は、ただ人類が平和な世界で幸福に暮らすことについてお話しするだけでは満足していません。

私は、このような目的を実現するために、実体的な組織を創設しました。「世界平和連合」、「世界平和宗教連合」、「世界平和女性連合」、「世界平和青年連合」、「世界平和学生連合」、「世界平和教授アカデミー」、「世界平和島嶼国家連合」、そして「世界平和半島国家連合」などを創立するに当たって、非常に多くの霊的な支持を受けています。「世界平和大陸国家連合」は、このような目的に貢献するでしょう。

本性の中で新しい希望の答えを探すべき

政治的、経済的葛藤を含めて、人間の幸福を実現するには多くの障害物があります。しかし、最も根本的な障害物は、私たち人間個々人の中にある、心と体の葛藤です。歴史を通して、心と体の葛藤が完全に解決されたことは一度もありませんでした。これは人類堕落の、深刻で悲惨な結果です。

このような側面で、内的な葛藤を抱えている人間たちは、適切な倫理と道徳的基準を立てる家庭を築くことができないので、真の愛に基づく心情世界を経験できないのです。

このような家庭が、完全な調和と統一を成し遂げることができるでしょうか。家庭単位で真の愛を実践する責任を捨てたので、今、家庭が揺れ、崩壊しつつあるのです。家庭が崩壊する中で、社会、国家、世界の平和実現の可能性はあるでしょうか。

私は、今年七月三十日、アメリカの首都ワシントンDCで「世界平和家庭連合」創設大会を主管しました。ジエラルド・フォードとジョ・ジ・ブッシュの二人の元アメリカ大統領と四十ヵ国以上の国の元国家元首、そして世界百二十ヵ国の代表たちが、この歴史的な国際大会に参加しました。「世界平和家庭連合」は、真の愛の平和世界実現のために、私が今まで創設してきたすべての国際機構の基礎となる、最も重要な機構となるでしょう。

今日、各個人は、神様の真の愛の圏内で心と体を調和統一することによって、真の人間性を回復しなければなりません。人類は、「性」の純潔運動と真の家庭実現運動を通して、永遠の幸福の時代のために準備しなければなりません。家庭連合は、そのような使命に貢献するでしょう。

人類歴史の路程において、神様の摂理的立場から見たとき、人類は、国家と人種、そして宗教的な違いを超越し、真の父母であられる神様をお迎えして共に暮らす大家族です。

一つの単一共同体として、全人類が地球家族として、共に協力せざるを得ない運命で結ばれているにもかかわらず、私たちは、隣人と他の国々の問題に、全く関連のない時代に生きているかのような感覚をもっています。しかし、私たちは戦争、犯罪、麻薬の乱用、公害、生態系の破壊、倫理的堕落とエイズの拡散などによって苦痛を受けている人類の現実を無視することはできません。

今日、私たちをめぐる歴史の観点から、私たちは神様の声に応えなければなりません。どのようにすれば人類が完全な調和と統一を成し遂げ、不幸な現実を克服して、希望の新たな世紀を迎えることができるのでしょうか。私たちは、いかにして、個人的あるいは国家的な利害関係とは関係なしに、人を信じ、ために生きながら平和な世界を実現できるのでしょうか。このような理想を実現するための新しい価値体系とは何でしょうか。

私たちは、世俗的な人本主義に引っ張られる科学と技術に依存するよりも、私たちの本性の中で、謙遜にその答えを探さなければなりません。もし私たちが、この地でその答えを探すことができないのであれば、天の声に耳を傾けなければなりません。

私は、この大会での皆様の深思熟考が、平和世界の希望を実現する結実となることを願います。神様の御加護が皆様と皆様の御家庭に共にあることをお祈りいたします。ありがとうございました。

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