今晩、公私共にお忙しい中であるにもかかわらず、このように会場を埋め尽くしてくださった内外の貴賓の皆様に深い謝意を表し、中国の大規模自動車工業都市造成に関する説明に先立ち、これまで私が抱いてきた所信の一端をお話ししようと思います。
大転換期と韓国
皆様もよく御存じのように、今日、世界はアメリカとソ連を両極として維持されてきた東西冷戦時代は、これ以上存続できない状況となってきています。ソ連の開放政策、中国の改革と民主化の葛藤、そしてハンガリー、ポーランドをはじめとする東ヨーロッパ圏に起きている一大改革など、「革命」という言葉で表現されるにふさわしいもろもろの変化は、共産主義とその体制の限界と合わせ、従来の両極のイデオロギー対立の構造が崩れつつあることを証明しています。
国際経済の面でも、ヨーロッパ共同体が一九九二年まで単一市場として統合されるなど、世界経済は多元化、ブロック化の趨勢へと移行される転換期的状況を示しています。
このような変化と転換の時代に、韓国はいかに対処し、どの方向へと進んでいくべきでしょうか。韓国は、地政学的に非常に微妙な位置にあり、昔から強大国の勢力拡大のための要地となって、歴史的な犠牲を払ってきました。東西両極時代に代表的な苦難を経た我が祖国は、多元化と和解の時代を迎えたからといって、国益が保障され、民族的な問題が解決されたわけではありません。韓国を中心とした四つの強大国、すなわちアメリカ、日本、ソ連、中国は、韓半島にそれぞれ重要な関心と利害関係をもって互いに絡み合っています。
私は、このような韓国の状況を、神様の摂理的観点から世界と歴史の縮小体として見つめています。ですから、すべての歴史的関係と世界的問題が、直接的、間接的に、ここ韓半島に連結しており、したがって韓国は世界問題の縮小体であり、世界問題の解決は韓国問題の解決と不可分の関係にあります。
神様の平和理想のための特別精誠
満場の貴賓の皆様。私は早くから天の召命を受け、神様のみ旨を地上に実現するために生涯を捧げてきました。韓民族が神様の摂理の中心民族であることをよく知っている私は、歴史を通じたこの民族の受難の意味を人とは異なる解釈をしながら、分断韓国を統一祖国へと転換させることが、正に平和世界の実現と直結することを確信しています。共産主義とその体制が黄昏(たそがれ)時を迎えたからといって、現今の自由世界が、その思想的な代案を提示できると思いますか。
自由民主主義を信奉する西欧社会の矛盾性を、何によって克服していくのでしょうか。私は「八・一五光復」と「六・二五動乱」を通した分断民族の悲惨な運命を直視しながら、南北統一時代に備えた思想を確立し、国際的基盤を築くことに私の生涯をかけると天に誓約し、これまで四十年間以上、努力してきました。
韓半島の周辺、特にアメリカ、日本、ソ連、中国に対して、私たちが主体的な力量を発揮しながら彼らを動かし、南北統一の支援勢力として動員し、確固たる自由民主の思想的基盤の上に平和統一を成し遂げることが簡単なことでしょうか。もし、ソ連と中国が北朝鮮を支援しないよう積極的な対策が練られるとすれば、どれほど幸運なことでしょうか。
この説明会の場は、一つの企業体の中国進出について説明する単純な集会ではありません。財力に基づく利潤追求を目的としたプロジェクトでもありません。私は、神様の平和理想を中心として、中国大陸のために三十年以上も前から特別祈祷の精誠を捧げてきました。一次的には、彼らの開放を助け、技術支援を通じて近代化を助けながら、私たちと善隣の関係を結ばなければなりません。
国際平和高速道路と日韓トンネル
私は一九八一年、第十回「科学の統一に関する国際会議」において国際平和高速道路計画を発表し、その事実を世界百二十ヵ国の元首に公文で知らせたことがあります。日本の東京から日韓の海峡をトンネルで連結し、ソウルと平壌を経て中国の北京に至り、モスクワ方面と中東方面との二つに分かれ、ヨーロッパの各所、そしてロンドンに至る記録的な大土木工事となる国際高速道路計画です。
一九八二年から、日本で千五百人余りの学者と実業家たちがトンネルに関する研究会を組織し、政治、経済、技術、地質調奄など四つの環境分科に分かれ、活発な研究と予備探査を終え、佐賀県の名護屋で、既にパイロットトンネルが掘られています。中国政府も非常な関心をもち、既に安東・北京間の約千キロに対する路線を決定するために、専門家との協議が進行中です。
私は、中国との交流が困難だったころから、何度も人を送り、彼らへの近代化援助を協議するとともに、延辺(えんべん)大学に工科大学を建ててあげ、毎年五十万ドル相当の実験機器を支援し、交換教授、留学生の派遣などを助けています。
私が設立した国際救護親善財団を通して様々な支援をする一方、アメリカのコーチたちを派遣し、体育の発展を助けています。そして、中国の学者たちに「統一思想」を研究できる機会を設け、彼らが思想的な混乱を克服できるよう支援しています。
尊敬する貴賓の皆様。中国はいまだに共産主義に固執している国です。六四天安門事件が起こったとき、ほとんどの自由世界の経済人たちは中国から撤収してしまいました。
そのような中で、私は自動車工業を推進している実務者に、少しも動揺せず、より一層積極的に推進するよう指示し、六月二十七日、広東省恵州の現地で大々的な起工式を行いました。
困難な事情に追い込まれた中国の指導者たちに、大きな恵沢を与えることによって、深い心情的関係を結び、共に大局について議論し、太平洋時代に共助できるようにするためです。先にも述べましたが、中国に進出する私の動機は、目前の利益を追求するためのものではなく、天のみ旨に従うところにあるのです。
技術平準化と対中国支援
私は、早くから技術の平準化を主張してきました。技術は、その恵沢が人類全体に及ぶようにするための神様の祝福です。先進国が技術力を独占し、それを手段として開発途上国に不利益を与えることは、もう一つの搾取であり、罪悪であると言えます。
このような傾向は、紛争と不和の火種となり、世界平和を脅かすことになるので、私は世界を助けるための技術力を蓄積することに多くの財力をかけて準備してきました。例を挙げれば、ドイツにおいて世界トツプクラスの四大会社を引き継いで育成を続けているのが、自動車のライン生産を含めた機械製作会社です。
また、電子技術力確保のために、日本で先端電子開発会社を育成し続けています。ドイツと日本以外にも、いくつかの先進国で技術基盤を広げていますが、このような背景と実力の基盤がなかったとしたら、私が中国と容易に提携することはできなかったでしょう。
単純な企業の運営を越えて、今回のこの自動車工業都市造成のための投資も、北京の最高指導者たちを啓蒙し、新しいアジア太平洋時代の同伴者としてしっかりと連結し、その結果が北朝鮮の金日成主席に影響を与えるようにするためのものです。
私は、この中国のプロジェクトを、私たちの安保と救国の次元から離れて考えたことはありません。一方、私は、一九七六年、アメリカのワシントンDCでの大集会で、将来モスクワで大きな集会を開くことを宣布しました。世界の碩学たちと宗教指導者、言論界の著名人士、芸術界の代表たちを通し、既にその基盤を築いているのです。
ソ連が金日成主席の説得に乗り出すべき
今、ソウルには私の招請でソ連のノーボスチ通信社のヤコブレバ編集局長をはじめとする五人の中堅言論人が訪問しています。彼らは韓国の発展した姿に驚嘆しており、帰路には日本共産党の様子を視察し、中国を経て、彼らが行きたくないと思っている平壌に必ず寄ってほしいと言いました。
韓国の発展した姿と鮮明な印象を北朝鮮の指導者たちにしっかりと伝えさせることによって、北朝鮮の指導者たちの誤解を防ぐのに一助とならしめるためです。彼らの一行には、韓国を紹介する一時間の記録映画を製作するチームがあり、ソ連に帰れば全国に放映することになっています。
そして、今度の十一月二十六日には、ソ連国営放送の会長、ノーボスチ通信社の会長など六人の代表的な言論人が、同じく私の招請でアメリカを訪問することになっています。今月の初めには、世界トップクラスのキーロフ・バレエ団のオレグ・ヴィノグラードフ団長がソウルを訪問し、私が設立したワシントンDCのユニバーサル・バレエ・アカデミーの学長を兼任することを確約しただけではなく、ソ連内で神様のみ旨のために多大な援助をすることを約束して帰っていきました。
また、十月二十七日から、ロシア正教本部と私が創設した国際宗教財団の共同主催によりモスクワで開催される、教会一致のための会議に、二十人の宗教学者と代表たちを派遣するつもりです。そして、遠からずモスクワで「世界言論人大会」を開催し、ソ連の改革と開放を側面から支援する予定です。
今回、始めた中国恵州の工業都市造成は、これから引き続き造成していく、アジア太平洋時代に備えた多目的工業都市四地区中の第一地区にすぎません。中国の大連・安東(丹東)地区、ソ連のハバロフスクと中国のハルビンを連結する地区、そしてソ連のウラジオストク地区が、残りの三地区です。
大連・安東地区は、新義州を通して北朝鮮にその恵沢が及ぶようにし、ウラジオストク地区は、北朝鮮の雄基(ウンキ)(羅先-ラソン)側と中国の延辺側にも恵沢が及ぶようにする計画です。
このような一連の事業と活動を通し、中国の指導部とソ連の指導部が韓国を正しく理解し、北朝鮮に直接的にも間接的にも大きな影響を及ぼすようにしてこそ、私たちの望む自由と民主の統一理想が実現するのです。
アジア太平洋時代の主役
満場の貴賓の皆様。私たちは、この先十年後には、新しい世紀を迎えます。分断と対決で綴られた二十世紀を終え、高い道徳と価値が尊ばれる和解の時代を迎えなければなりません。ソ連とアメリカの二つの軸が世界を管掌していた西欧中心の時代は過ぎ去っていくのです。
今、アジア太平洋時代が開かれつつあります。私が先ほど皆様にお話ししたように、この時代に備えた四つの工業地区の造成がいくら重要だとしても、政府主導や一国の主管だけで簡単に成就できるような事業ではありません。この事業は、世界的な基盤と多国的企業の特性を生かすことができます。また、基本的に平和世界のための愛の実践という宗教理念に基づいて世界の力を結集することは、私だけができることであると思います。
そこに犠牲や損失があったとしても、私は継続して推進していくつもりです。各界の指導者である皆様が、一つの教会やグルーブの次元ではないこの計画に対して、韓国が主体的な立場を守っていくことができるよう、挙国的な声援と参加をしてくださり、その成果が南北統一と世界平和として結実し、韓国が太平洋時代の主役となるよう助けてくださることをお願いします。
そして、これらの事業は、どの強大国の指導者も、韓半島やアジアの重要性と役割から見て、簡単に無視することができず、部分的にでも同参(一緒に参加すること)、あるいは支援をせざるを得ない、平和の基地造成事業となるでしょう。したがって私は、このような歴史意識によって、太平洋圏に推進してきた多角的な計画とともに、既にアメリカ、中国、ソ連の基盤を通して、東西首脳会談を推進しています。
ソウルの漢南洞国際研修院で、東西四ヵ国の首脳会談を開催することによって、世界に平和のムードを醸成し、その基盤と余韻をもって、金日成主席が真の平和の道へと乗り出せるようにするのです。
新時代の指導理念は神主義
満場の内外の貴賓の皆様。私たち人類は、思想的な葛藤を克服し、道徳性を回復した基台の上に、国際協力を通した愛の地球村家族の理想を実現しなければならない課題を抱えています。長い歴史を通し、人類の精神文化を創出してきたアジアから、新しい時代を指導する理念が現れなければなりませんが、それこそが正に私が主唱し、世界的に教育している「神主義」です。
そして、迫りくるアジア太平洋時代は、一つの隣同士のように近くなった地球村で、全人類が皮膚の色と文化の背景を超えて、共に調和して暮らしていかざるを得ない世界です。今、世界は、個々人の自己の存立のためにも、怨讐を想定できない和合の時代へと向かうように天運が追い立てています。
私たち韓民族は、神様を中心とした堅固な思想的基盤と正しい価値観のもとで生活することによって、新時代の導き手にならなければなりません。私たちは、小さな利害関係を超えて、国際関係に対する冷徹な認識のもとで、全民族的に団結した力を発揮して、アジア太平洋時代の主役にならなければなりません。
改めて、参席してくださった内外の貴賓の皆様に感謝を申し上げ、皆様の御家庭と皆様の携わる仕事に神様の祝福があることを祈りながら、これをもって御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
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