八、僕の僕から王の王まで
・死なんとする者は生き
では、その最低の僕の立場から出発したとして、どうしたら養子や息子の立場に引き上げられうるだろうか。そのためには、僕のために自らの生命を捧げて犠牲になることである。そうすることが結局は最も早道である。肉体をもった人生というものは、ふと一瞬たつてはたちまちかき消えてしまう朝がすみの如く、束の間のはかないものなんだから、喜んで犠牲になろうではないか。
先生が歴史のすべての秘密を発見して、歴史というものを改めて見てみた時にも、『死なんとする者は生き、生きんとするものは死なん』と言われたイエス様の御言を、己れの骨髄にまで泌みて痛感した。一度ならず何度も何度も、自分の生命を失うことが、勝利への唯一の道なのである。僕から父母に至るすべての段階において自分の生命を捨てきって歩むことである。
七年間ただ生命を断念して、勝利的にこの路程を越えていった時、突如としてあなたの前に宇宙は一変して、宇宙の全生命が自分を守っていることを感知することができるだろう。
ワシントン大会の時にも、その大使命を成就するために先生は、いつでも死ぬ覚悟があったし、無条件に全面的に生命を投げ出し、完全に死にきってもいた。それほど、のるかそるかの絶対的に追い詰められた境地に立たなければ、イエス様、先生、そして神の事情を到底理解することはできない。一つの絶対絶命の限界状況に直面してみて初めて我々は、自分がいかに憐れな足りない者であるか、自分というものが何者であるか、はっきりと知ることができる。
そのくらい真剣に歩むことによって日々自らを再発見しながら、一日一日を新しき日として、先生の基準をめざして日々発展していくというような我々の日常生活であるべきである。
外に吹き荒んでくる嵐を乗り題える最善の秘訣も、自分自身を乞食をも羨むような最低の位置に置くことである。良い食事や十分な睡眠、快適な生活等はかえって重荷になるだけである。
自分を僕をも羨むような僕の僕の位置に置いてみて初めて己れを知ることができ、知れば飛躍することができる。先生も三十五歳までは僕の僕たることに徹して、自分の服を買ったこともないし、整髪料等をつけたこともほとんどないくらいである。その上いつも四十五度以上は顔を上げずに下を向いて歩いていたほど、罪人の立場に自らを置いていた。一人の罪人になりきっていたのである。
また、自然が罪なき真の人間によって見られたいと競っていることを知りながらも、自らの摂理的使命を成し遂げるまでは、清き自然を見る資格も権利もないことを感じて、大自然の前から身を隠したくなった。罪人となって歩む自分自身が、責に罪深き者として感じられるほど、そうなりきっていたからである。



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